信州建築構造協会9月例会公開講演会のご案内
主催 | 信州建築構造協会 |
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後援 | 一般社団法人 長野県建築士事務所協会 |
開催日 | 2022/09/16 |
講演内容 |
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会場 | ホテル国際21 長野市県町576 |
参加申込 | 一般の方で参加を希望される方は、こちらの申込用紙にご記入の上FAXにてお申込ください。 お問い合わせ信州建築構造協会事務局 |
セミナーレポート
◎ 「水に着目して劣化速度緩和」 ◎
○ 東京理科大の今本教授が講演 ○
信州建築構造協会(白鳥太一会長)は9月16日、長野市内で9月定例会を開催。リモート参加を含む約50人が東京理科大学の今村啓一教授らの講演を聞きました。懇親会は新型コロナウイルスの収束見通しが立たないため中止となりました。
白鳥会長
講演に先立ち、白鳥会長は「リモート中継は講演会を中止しなくて良いが、Web参加する会員が増えた。コロナ禍前のように大勢の会員が集まり、顔を見ながら意見交換をする日が来ることを切に願う」とあいさつしました。
今本啓一教授
講演では、東京理科大学工学部の今本啓一教授が「自然環境下のコンクリート劣化」をテーマに、中性化の進行について解説しました。
耐震診断でコアを見て中性化を論じるのはナンセンスとし、鉄筋腐食リスクは「かぶり厚が不足している箇所が腐食する。屋内乾燥環境は中性化によるリスク検討対象から外して良い」としました。
さらに外部雨掛かり環境では「そもそも中性化が鉄筋に到達するまで70年から350年かかる」や、暴露実験によるRC造建築物の寿命評価について「水を意識した補修を検討することが必要」としました。
事例として中性化による鉄筋の腐食が進行していた国立西洋美術館本館(東京都台東区)の補修工事を紹介。小径コアによる中性化測定を行い、非破壊の透気試験の結果をもとに、2015年に外部躯体への表面含浸材を塗布して修復。経過観察で躯体内部への水分の浸透抑制を確認し、メンテナンス時期の特定ができたと報告しました。
「中性化を許容しながらその先の鉄筋の浸食を抑制することで水を制御。元にもどす補修ではなく、水に着目して劣化の速度を緩和する保存技術の開発が必要」と話しました。
青野利紀氏
この日は、商品・技術紹介の講演ではバルチップ㈱の青野利紀氏が、コンクリート補強繊維「バルチップ」を紹介。「軽くて作業性に優れ、コンクリートに混入することで半永久的に劣化しない。CO2排出量も大幅に削減できる」と利点をあげ、「GBRC(建設材料技術性能証明書)を取得したことで設計に盛り込みやすくなり、鉄筋の高騰で採用が増えている」と説明しました。